ICML 2026 スポンサーブース見て歩き
最近は学界にも業界の影響力が大きくなっているようです。今回のICML 2026ソウルでも、 スポンサーブースのエリアが展示ホールを丸ごと占めていました。歩き回って見た感想を 写真とともに共有します。
ビッグテック
OpenAI、Google、Apple、Meta、Amazon、Microsoftといった企業が最も大きな スペースを構えていました。運営方式はだいたい似ていて、
- Lightning Talkセッション — ブースのステージで所属研究者が交代でリサーチ内容を共有
- チーム別の研究者常駐 — 興味のある分野の研究者を訪ねてすぐ質問できる
Noam Brownも来て話をしていたようですが、時間が合わず行けませんでした(泣)
最大の目的は採用のように感じられました。
番外編:NAVER
NAVERもブースを出していて、ビッグテックと似た方式で運営していました。 各分野のリサーチャーがいて、興味のある分野について会話できました。
米国外のフロンティアラボ
Mistral、ByteDance、Alibaba、Xiaomiなど米国外のフロンティアラボも 出展していました。ここもほとんど採用中心でした。
ネオクラウド・インフラ・推論
Runpod、Together AI、Nebiusなど、さまざまなネオクラウド企業がブースを 出していました。ここも主な目的は採用のようでした。
VESSL AI — GPUクラスタの提供企業。良いGPUを多く確保することが重要な ビジネスで、Lambda Labsのようなポジションです。
FriendliAI — 推論最適化。GPUを借りてモデルをサービングし、APIとして 販売するビジネスモデルで、どれだけ効率よく(価格、bandwidth、latency)サービング できるかが鍵の会社です。
余談ですが、推論最適化といえば思い浮かぶオープンソースvLLMとも 縁の深い会社です。FriendliAIはソウル大学コンピュータ工学部の チョン・ビョンゴン(Byung-Gon Chun)教授が自身の研究室 (Software Platform Lab)をベースに創業した会社で(現在は休職中)、 vLLMをはじめ現代のLLMサービングエンジンの標準手法となったcontinuous batching (iteration-level scheduling)は、このチームのOrca論文(OSDI 2022)で 最初に提案されました(FriendliAIブログ)。 Orcaの筆頭著者でチョン教授の教え子であるユ・ギョンイン(Gyeong-In Yu)博士が 現在のCTOで、vLLMの共同開発者クォン・ウソク(Woosuk Kwon)も ソウル大学の学部時代にこの研究室でNimble(NeurIPS 2020)の 論文を共著した縁があります。
HyperAccel(アクセラレータ)、Nota AI(最適化)といった韓国企業もありました。
データ収集関連の会社
Scale AI、Voxel51、Tolokaといったデータ企業も目立ちました。
Handshake AI — データを集めて販売する会社。学部生(数学でも語学でも)から データを集め、フロンティアラボに販売しています。
その他、印象に残ったブース
General Intuition — ゲームクリッププラットフォーム Medalからスピンアウトしたワールドモデルのラボ。ブースではRocket Leagueを 学習したマルチプレイヤーワールドモデルMIRAをデモしていました。
MIRAはKyutaiと共同で、Epic Gamesの協力のもと作られた「プレイ可能な マルチプレイヤーワールドモデル」で、ブログ、 テクニカルレポート、コードが すべて公開されています。ウェブで直接プレイする こともできます。要約すると:
- 5Bパラメータのdiffusion transformer + 600Mのビデオ表現コーデックを、latent空間で diffusion forcingにより動かす構造
- ボットのセルフプレイで収集したRocket League 2v2の試合約1万時間で学習 — 物理エンジンや レンダラーなしに、純粋なビデオ予測だけでブーストや衝突などのゲーム力学を再現
- 最大4人のキー入力を同時に条件として受け取るマルチプレイヤー構造で、B200 GPU 1枚で 20fpsのリアルタイム駆動
- 短いクリップだけで学習したにもかかわらず、ロールアウトが測定限界の5分を超え、 実際には数時間崩れない安定性
- 学習・推論コードとともに、1,000時間分(4視点合算で約4,000時間)のRocket Science データセットをHugging Faceで公開
投資の話も話題でした。2025年10月にKhosla VenturesとGeneral Catalystのリードで シード1億3,370万ドルを調達し(TechCrunch)、 8か月後の2026年6月にはJeff Bezos、Eric Schmidtらが参加したシリーズA 3億2,000万ドルを 企業価値23億ドルで調達しました(TechCrunch)。 Medalに蓄積されたアクションラベル付きゲームプレイデータ(数億時間規模)が中核資産ですが、 ブースで聞いたところでは、データを売るのではなくエージェントモデルそのものを販売する 方向とのことです。
ElevenLabs — Scribe(STT)チームの方がいて、いろいろ話を聞くことができました。
METR — 気になっていたのですが、ブースに人がおらず残念でした。
Goodfire、**MATS**のようなインタープリタビリティ・アラインメント系のブースもありました。
クオンツ・トレーディング会社も多かったです — Citadel、 Jane Street、Jumpなど。 中国のクオンツJoinQuant(聚宽)も大型ブースを出していました。 ML人材の採用競争ではこちらも負けていません。
パク・ジョンヒョン(Park Jong Hyun)